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ホアキン・フェニックス版ジョーカーの評価は?ヴェネツィア国際映画祭で喝采!その魅力とは?

ホアキン・フェニックス版の「ジョーカー」が、2019年8月31日に、ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で、世界に先駆けて、初演を迎えました。

トッド・フィリップス監督による、DCコミックスの始まりの物語は、ヴェネツィア国際映画祭での初演後に、なんと8分間のスタンディングオベーションと「ブラボー」の声が止まないほどの評価を得ています。

今回、ヴェネチア映画祭で、行われた記者会見の内容をもとに、この「ジョーカー」の評価と魅力に迫りたいと思います。

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主演ホアキン・フェニックスの役作りとその評価

主演のホアキン・フェニックス、助演のザジー・ビーツ、トッド・フィリップス監督の行なった記者会見が大評判で、特にホアキン・フェニックスは早くも、アカデミー賞主演男優賞ノミネートの声も上がっています。

これまで、ホアキン・フェニックスで、強烈な印象を残していたのが、「グラディエーター(2000年)」コモドゥス帝を演じたことではないでしょうか?

「コモドゥス帝」も含め、3度アカデミー賞主演および助演男優賞に、ノミネートされています。

この「グラディエーター」の時も、心に闇を抱えたヴィラン役を見事に演じあげています。

記者会見で、ジョーカーおよび、ジョーカーへと変貌していくアーサー・フレック役のホアキン・フェニックスは、

「これまでの、ジョーカーのように、単に苦痛や苦悩を抱えたキャラクターとは捉えていなくて、彼の中に、喜びや幸せ、人とのつながりや愛を求めている。」

「苦痛や苦悩というキャラクターにしなかった」

とおっしゃっています。

単純な「いいやつ、悪いやつ」ではなくて、「喜びや幸せ、人とのつながりや愛」を求める中で、間違った方向に進んでしまったという新しい「ジョーカー」の側面が感じられます。

「映画撮影に8ヶ月、アーサーという人物を追い続けたが、初めに感じた彼と、撮影が終わる時に感じる彼は、全く別のキャラクターだった」

とのことです。

このような経験は、長い役者景観の中で、ホアキン・フェニックスさんにとっても、初めてのことだったそうです。

撮影を追うごとに、キャラクターが深まり、監督と二人三脚で、映画の撮影期間全てを通じて、「ジョーカー」のキャラクターを作り上げたと言えますね。

映画を通して、アーサーの求めているものが、いわゆる「カオスをゴッサムシティにもたらすことが目的」ではなくて、「人々を笑わせて、世界に喜びを与えたい」という目的だったことが見えてきます。

 

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それが、様々な出来事が起こる中で、彼の目的と違う結末を迎えてしまうのです。

ホアキン・フェニックスとフィリップス監督は、映画撮影に入る6ヶ月前から、「アーサー」と「ジョーカー」のキャラクター作りについて、一緒に練り上げていきました。

このキャラクター作り自体は、珍しいことではないのですが、かなり深掘りしたそうです。

ただ「アーサー」のキャラクターについて、撮影を重ねるごとに「新しい発見」があり、撮影最終日にも、

「(アーサーのキャラクターの発見が、まだありそうだから)あと3週間撮り直そう

という話があったほどでした。

ホアキン・フェニックスは、役作りの初めに、まず体重を24kg一気に落とします

そこで、経験したことが、一気に体重を落とすことで、「本当に気が狂った」人間の感覚が見えてきたとのことです。

さらに、「政府要人の暗殺者や暗殺志望者」についての本を読むことで、そういう行動を起こす人物の心理分析を行ったそうです。

本編にも出てきますが、精神科医が、その患者の感情を特定できないようなキャラクターにすることを目指しました。

そんな取り止めのない、キャラクター作りの契機となったのが、フィリップス監督から渡された、映画のなかで、アーサーが抱えている、彼の「ジョーク日記」でした。

もちろん、監督から渡されたのは、白紙のノートで、そこにホアキン・フェニックス自身が「書き込む」ことを進めたそうです。

ただ、初めは「何を書いたらいいかわからない」と当惑気味だったのですが、ある時、役作りをする中で、書くことがどんどん自然に湧き出てくるようになったそうです。

そのことがきっかけで、「アーサー」のキャラクターの発見が始まりました。

「アーサー」が「ジョーカー」へ変貌していく中で、その「正解のない」キャラクターを深掘りしていくことに徹底したことが、この映画の最大の魅力となっています。

正しい目的があったにも関わらず、自分の意図しない出来事によって、歪められていく、そんな「アーサー」の悲しみに、誰しもが共感できるところが、今回の賞賛につながっているのではないでしょうか?

「アーサー」の笑い方にも、かなりのこだわりがあり、フィリップス監督は、初期の段階でホアキン・フェニックスに、「笑い」の動画をいくつか見せてきて、「痛々しい笑い方」を探求したそうです。

この「痛々しい」笑い方こそ、彼の内面にあった、「ジョーカー」が顔を出してくるのです。

ホアキン・フェニックスの笑いは、非常に「気まずい」笑い方で、監督も見ていられないほどまでに完成させました。

そんな中、「苦悩の笑い」「人に混ざろうとする笑い」「純粋な喜びの笑い」を作り上げます。

予告編を見るだけでも、涙が出てくるような「悲しい乾いた笑い」を見せる、ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」期待しかないですね。

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映画「ジョーカー」の挑戦的な世界観

「ジョーカー」は、ゴッサムシティを本拠地とした、ヴィランであることは前提としてありますが、今回、フィリップス監督は、ニューヨークやブロンクスが舞台であることをあえて隠そうとしていません。

これまでのDCコミックスやマーベルといった、スーパーヒーローたちの世界観と大きく異なったアプローチをとっています。

いわゆる、70年代の普通のニューヨークのブロンクスに住む、一人の人間として、映画の世界が作られています。

1970年代の映画が、この「ジョーカー」製作に深く影響しています。

当時の映画は、キャラクターの深掘りをした映画が、多く製作されました。

その中でも、当時のマーティン・スコセッシ監督作品「タクシードライバー」などに、特に影響を受けたとフィリップス監督は答えています。

「タクシードライバー」主演のロバート・デ・ニーロが、本作でも登場し、「ジョーカー」を世間へ紹介する役割をするのは偶然ではないのです。

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最近のスーパーヒーロー映画の潮流である、共通した世界観(DCエクステンデッド・ユニバースやマーベル・シネマティック・ユニバース)に対して、対極にあるようなアプローチと言えます。

DCや映画スタジオにとっては、到底飲めるようなアプローチ方ではなかったのですが、フィリップス監督の、そのこだわりに、スタジオ側が折れて、覚悟を決めたことで、今回のヴェネツィア国際映画祭での高評価につながったようです。

物語の骨の部分は、原作に「ジョーカー」の生い立ちがないので、自由に解釈する一方、様々な関連コミックスから、要素を抽出して、作り出しました。

この映画が最も影響を受けた映画が1928年のサイレント映画「笑う男」だったそうです。

そもそものオリジナルの「ジョーカー」というキャラクターが生まれたきっかけとなった映画でもあります。

また、これまでの「ジョーカー」の目的は「ゴッサムシティを焼き尽くすこと」であったのですが、アーサーは、「自分のアイデンティティを見つけ出し、賞賛を受けること」を生きる目的にしています。

彼が、指で口を広げ笑顔を作る印象的なシーンは、まさに彼がアイデンティティを探す中での行動でした。

最終的に間違った方向でアイデンティティを確立してしまいますが、それでも、シティを燃やすことを目的にしてはいません。

あくまでも彼の目標は「人々に笑顔と喜びを与える」ことだったことが歪んだ形で現れていったのです。

助演ザジー・ビーツ

ザジー・ビーツさんは今回、新しいキャラクターで、アーサーと同じアパートに住むシングルマザー役です。

ザジー・ビーツさんは「デッドプール2」で「ドミノ」役で一躍注目されました。

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今回は役作りの中で、アーサーのようなつかみどころのない人間との関係や、自然な反応とはどうなるかなどを深く追求したそうです。

「デッドプール2」や、監督自身が言及した「ジョン・ウィック3:パラベラム」とは違い、アクションで魅せるのではなく、キャラクターの作り込みで見せていくという手法は、見る側に深い共感を生むという点でも、映画の評価につながっていると思います。

この点について、バイオレンス描写をどこで取り入れるかに細心の注意を払っていて、アーサーのこみ上げてくる怒りに合わせるように、バイオレンス描写が効果的に使われています。

これまでの「ジョーカー」の出る映画は、暴力描写が見せ場の作品が多いのですが、アーサーの心理描写を中心にしている映画なので、不必要なバイオレンスシーンは控えめになっています。

バイオレンスも丁寧に心理描写に合わせるという徹底ぶりは、画面を通して感じられる魅力となっているようですね。

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映画「ジョーカー」サウンドトラックのこだわりと評価について

 

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音楽担当のヒドゥル・グドナドッティルさんは、今回の映画に曲を作ってもらうのに、脚本だけを送って、曲を書いたそうです。

一般的には、映画のサウンドトラックは、映像に合わせて音楽をつけるということが多いのですが、今回は、曲が先行して作られました。

最も印象的なシーンの一つ、アーサーがバスルームで踊るシーンは、もともと、アーサーがバスルームに銃を隠すシーンだったそうです。

「アーサーは銃を隠すようなことはしない」

という話になり、どうするか行き詰まっていた時に、作曲担当のヒドゥル・グドナドッティルが、このシーンに合わせて作曲した音楽を現場で流しました。

そんな時に「アーサー」となったホアキン・フェニックスが踊り出したことで、このシーンが決定づけられました。

このシーンこそが、「アーサー」から「ジョーカー」へと変貌する映画の核となる、象徴的な場面となりました。

今回、映画がサウンドトラックに合わせて、作られていくという意味で、サウンドトラックの評価が非常に高いのも頷けるかと思います。

ホアキン・フェニックス版ジョーカーの魅力と評価まとめ

映画「ジョーカー」は、主人公アーサー・フレックが、心に憎しみを蓄えていくことで、伝説的なヴィラン「ジョーカー」へと変貌していく様を描いています。

いわば、ゴッサムの崩壊した無関心で残酷な社会が、純粋なアーサーフレックを化け物に変えていく物語です。

アーサーは、彼の周りに起こる出来事に対して、悪い決断を繰り返し、ヴィランへの道へ突き進んでしまいます。

トッド・フィリップス監督は、アーサーについて「間違ったシンボルとして、自分のアイデンティティを見つけ出した男」として本作で表現しています。

このフィリップス監督と、ホワキン・フェニックスの二人三脚で、映画を撮影しながら作り上げた、「アーサー」のキャラクターの、悲しさや怒りに深い部分で共感できることが、この映画が、ヴェネツィア国際映画祭で、史上稀に見る高評価を得た要因だったのではないかと考えます。

日本公開は、日米同時公開の10月4日になっています。

今から公開が待ち遠しいですね。

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