「スノーマン」で知られるレイモンド・ブリッグズの作品を、9年の歳月をかけて手描きで制作したアニメ映画です。
映画「エセルとアーネスト ふたりの物語」のあらすじ(ネタバレ含む)と感想や口コミをご紹介したいと思います。
平凡なイギリス人夫婦が、寄り添い合って生きた40年間。
喜びも悲しみも乗り越えた2人の日常を細やかに描いた感動作です。
「エセルとアーネスト ふたりの物語」作品紹介、キャスト紹介
【原題】Ethel & Ernest
【日本公開日】2019年9月28日
【監督】ロジャー・メインウッド
【原作】レイモンド・ブリッグズ
ブレンダ・ブレッシン
ジム・ブロードベント
ルーク・トレッダウェイ
「エセルとアーネストふたりの物語」予告編完成!https://t.co/ywYtnpML6W#エセルとアーネスト#レイモンド・ブリッグズ#スノーマン原作者#主題歌ポール・マッカートニー
— チャイルド・フィルム (@childfilmjp) 2019年7月3日
絵本と、絵本を原作としたアニメ「スノーマン」で知られるレイモンド・ブリッグスが、自身の両親2人の41年にわたる結婚生活を描いた「エセルとアーネスト」。
時代の移り変わりを感じられる細かい描写と、「普通の夫婦」の深い愛情を描いたグラフィックノベルです。
原作は、1998年度のブリティッシュ・ブック・アワーズで、最優秀絵本賞を受賞しました。
映画ではアニメーションにとてもこだわり、ほとんどを手描きで制作、実に9年もの時間をかけたそうです。
そのため、まるでブリッグズの絵本がそのまま動き出したかのような、温かさを感じる映像に仕上がっています。
エセルとアーネスト、それぞれの声を担当したのは、カンヌの女優賞や、ゴールデングローブ賞を受賞したブレンダ・ブレッシン(『秘密と嘘』』)と、アカデミー賞他多数の国際的な賞を受賞しているジム・ ブロードベント(『アイリス』)の二人。
どちらも、イギリスを代表する名優です。
エンディング曲は、ビートルズのポール・マッカートニーが担当。
ポールは、ブリッグズ作品の大ファンだそうで、本作のために「In The Blink of An Eye」という曲を書き下ろしました。
「エセルとアーネスト ふたりの物語」あらすじ、ネタバレあり!
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【あらすじ】ネタバレ注意!
激動の20世紀を生きた、ごく普通の、イギリス人夫婦の40年にわたる生活を追った、心温まるストーリー。
1928年ロンドンで、牛乳配達員のアーネストとメイドのエセルは恋に落ち、結婚します。
最愛の息子も誕生し、幸せな生活を送る中、第二次世界大戦が勃発。
戦争を生き抜き、戦後の発展の中、息子の成長や結婚を見守りながら暮らします。
楽しい時も苦しい時も、いつでもエセルの横にはアーネストが、アーネストのそばにはエセルがいました。
原作者のレイモンド・ブリッグズは、1978年に出版され世界中で愛されている名作絵本「スノーマン」の著者として知られています。

スノーマンが子供向け絵本・アニメとして紹介されるため、絵本作家というイメージが強いですが、大人向けのイラストノベルや漫画作品も多く手がけています。
日本では、核戦争の恐怖を描いた名作アニメーション映画「風が吹くとき」も有名ですね。
今作の「エセルとアーネスト」も、決して子供向けの作品ではありません。
苦しい戦時中と、その後の発展期と、目まぐるしい激動の時代。
そんな社会の変化と、少しづつ老いてていく2人の様子が、年代の表示や細かい説明は抜きでも伝わるのが、アニメーションのすごさです。
風景や使っている道具、服装の変化などで細かく表現されています。
大きな事件は起こらず、偉大なことを為したわけでもない2人が主人公ですが、だからこそ、最後まで寄り添った夫婦の姿に、静かな感動を覚える名作となっています。
「エセルとアーネスト ふたりの物語」感想や口コミ
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ほのぼの作風のイメージがある、レイモンド・ブリッグズだけど、実は人生のシビアな面をちゃんと捉えている
という感想のように、エセルとアーネストも、決して幸せで楽しいだけではない人生を送っています。
そんな、どんな人にでもある悲哀や、老いの寂しさを捉えているからこその、面白さがあるようです。
戦時中の広島を舞台にしたアニメ映画『この世界の片隅で』の監督・片渕須直は、「35歳の女性をヒロインにする企画は、日本ではなかなかできない」とエセルとアーネストのテーマを評価。

アニメーションにするのが難しい日常の動作や、リアリティを追求した背景描写も賞賛しています。
試写会を観た人の中には
イギリス版の「この世界の片隅に」だ!
と感じた人も
同じように市井の人々の日常に注目した『この世界の片隅で』、が好きだった人には、気に入ってもらえる映画なのではないでしょうか。
絵本そのもののキャラクターが本当に生きているみたいに動く。自分の両親を思い出してしみじみしました
「世界のどこにもこんな父と母がいた」という映画キャッチコピーの通り、懐かしい両親の存在を思い起こさせてくれる作品になっているようです。



